東京エリア — 供給と需要はDCでどう変わるか

東京電力パワーグリッド管内。1マス=100MW(10万kW)。供給は設備容量、需要は年間ピーク時の最大需要電力。左右を同じ物差しで並べています。

国内DC需要の約6割が集中する需要の本丸。供給はJERAのLNG火力に大きく依存し、再エネは太陽光中心で昼だけ厚い。系統の接続待ちが「10年」と言われる中、JERA千葉(400MW・BTM)のように発電所の中にDCを置く動きが、跡地転用(A型)より先に進んでいる。問いは「信頼電源の近くに器を置けるか」。

2026
2016 ← 10年前2026 今10年後 → 2036

供給力

需要(最大需要電力)

需要を作るシミュレーション(2036年)

動かすのは打ち手の数です。MWは結果として出ます。基準線は2本——OCCTOの需要想定(このエリアの2034年度、蓋然性の高い案件だけを積んだ値)と、エネルギー基本計画の2040年目標(全国1.1〜1.2兆kWh)をこのエリアの電力量シェアで按分した値——で、どちらも所与として動かしません。

信頼電源と再エネのバランス/DCの重み

物差し:1マス(100MW)はどれくらいか

100MW = 一般家庭 約3万世帯のピーク需要、あるいは中規模の工場団地1つ 400MW = JERA千葉火力に計画されるAIデータセンター1件(国内最大級) 1,000MW(1GW)= 原子力発電所1基、LNG火力の大型1系列、秋田火力跡で検討される誘致規模 10,000MW(10GW)= 10×10のブロック。北海道エリア全体のピーク需要の約2倍、東京エリアの約5分の1

太陽光・風力のマスは「設備容量」なので、実際に出せる電気は時間帯と天候で大きく変わります(太陽光の年間平均は容量の15%前後)。同じマス数でも、火力・原子力・水力の1マスと再エネの1マスは「頼れる度合い」が違う、という前提で見てください。供給パネルの「ピーク時供給力」はその差を係数で反映したものです。

需要を作る — 東京電力グループ + JERA(東電・中部の発電JV) のビジネス戦略

いまの動き(確認済みの事実)

  • JERAが千葉火力にDell・RHAELMと400MWのBTM型DCを計画(2026/10/1覚書)、他火力への標準モデル展開を検討と表明
  • JERAと横浜市が横浜火力構内へのDC誘致検討で覚書(2025/10/3)。さくらインターネットとも発電所構内DCの新設検討で基本合意(2025/6)
  • 東京電力パワーグリッドはNTTグローバルデータセンターと合弁(千葉・IT容量50MWから)。特高接続待ちの長期化を抱え、2026/10から大規模需要の工事費負担金規律を導入

持っているもの

  • 湾岸に並ぶJERAの大型LNG火力群(千葉・横浜・川崎・袖ケ浦・姉崎・富津・鹿島)とその構内用地
  • 国内DC需要の6割という売り先
  • 柏崎刈羽(再稼働で271万kW)

戦略オプション

打ち手中身当方評価
B型(BTM)の量産千葉を標準モデルとして湾岸の火力構内に3〜5GWを順次展開。系統増強を待たずに需要を取り込む◎ すでに動いている。退役する旧式ユニットの敷地を優先すれば石炭・石油の退役と両立
F型(接続枠の承継)閉鎖工場(追浜・茂原等)の受電設備と枠を東電PGが仲介して次の需要家に引き継ぐ仕組み○ 制度化できれば湾岸全体の「相続ワット」市場が立つ
24/7CFE商品柏崎刈羽再稼働後に、時間別で非化石を保証する大口メニューを設計△ 再稼働の時期次第

シミュレーションの前提:1件あたりのMWは公表案件(桑名350MW、JERA千葉400MW、川内350MW等)に合わせた丸め。負荷率はDC80%・半導体85%・工場AI70%・電化50%で年間電力量に換算。エネ基の按分は、全国目標をこのエリアの現在の電力量シェアで割ったもの(国は地域配分を示していない)。売上は販売単価15円/kWhの概算で、託送・燃料費を含む粗い目安。予備率は上の供給パネルの2036年シナリオ(原子力再稼働・洋上風力等の仮置き)に対する値。

データの確度:実績公表統計からの概数(数%単位の丸めあり) 想定OCCTO需要想定(2025年度版)のDC・半導体の個別計上を、地域シェアで按分した値 仮置き当方シナリオ(原子力の再稼働、洋上風力の稼働、石炭の退役などを仮定)。2016年と2026年の供給は概ね実績、需要のDC・半導体は想定、2036年はすべて仮置きです。

供給の前提:水力には揚水を含む。柏崎刈羽6・7号(計271万kW)は2036年断面で稼働している場合の仮置き。洋上風力は銚子沖等。 蓄電池(系統用)は2026年が各エリアの運転開始済み容量の概数、2036年は接続申込の多さを踏まえた仮置き。持続時間は2〜4時間を想定し、データセンター構内のUPS・自家用蓄電池は含めない。

需要の前提:一般需要はOCCTO需要想定の最大需要電力(省エネと人口減で横ばい〜微減)。DC・半導体は同想定の全国個別計上(2034年度:DC616万kW・半導体99万kW)を、DC需要の地域シェア(東京62%・関西12%・中部9%、他は当方按分)で配分し、2036年まで延長。「発表ベースのパイプライン」は本サイトの地図に載せた計画の受電容量の合計で、OCCTO想定とは別物(すべて実現するとは限らない)。

出所:電力広域的運営推進機関「全国及び供給区域ごとの需要想定(2025年度)」、資源エネルギー庁 電力調査統計・エネルギー白書、各社供給計画・プレスリリース、本サイト地図の案件データ。数値は議論の叩き台であり、投資判断には一次資料で再確認してください。